2ちゃんに「自称・幽霊」が光臨
ネット上には生と死が交錯する場所が存在します。病床からの掲示板やTwitterへの書き込み。そして主を失い墓碑銘のように更新停止されたサイト。
私のPCにもそのような事情から、まだ削除のできないブックマークがいくつか存在したりします。ここではないどこか、という意味でネットは黄泉比良坂(よもつひらさか)に1番近い場所なのかもしれません。 いつもは饒舌な書き込みで賑わう2ちゃんねるのVIP板に不思議な来訪者がやってきたようです。それは1さんこと自称・幽霊さん。あろうことか幽霊がスレッドを立ててしまったらしいのです。 生前からの習慣でうっかりネットに接続したとのたまう闖入者に、おおぅ新手の釣りが来た! と名無しのネット住人たちは色めきたちます。 死に装束うp! とか性欲処理は間に合ってる? とか、さっそくいじられまくる1さん。そんな手荒な歓迎に臆することなく、彼は淡々と自分のことを語り始めます。 いわく、死出の旅路にもまだついておらず、今のところ生前自分がいた場所に存在していること、ぶっちゃけ岡山駅周辺で浮かんでいること、そしてネットへの接続は、キーボードで文字を打つのではなく文字をねじ込むような感覚であること、などなど。 ところが途中からお話はおかしな様相を呈してきます。 霊感を持つコテハンこと、ハンドルネーム・守護霊男さんが、1さんには身体が存在しない、と看破。そして名無しさんからの「コマンドプロンプトでpingしてみて*」との書き込みに、衝撃の事実が発覚するのです。 *コマンド『ping』で、他の端末に接続できているかを確認する作業のこと 120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/08(金) 20:42:25.67 ID:gJzKdi/30 Pinging 219.127.112.168 with 32 bytes of data: Request timed out. Request timed out. Request timed out. Request timed out. Ping statistics for 219.127.112.168: Packets: Sent = 4, Received = 0, Lost = 4 (100% loss), >>114 ((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル 「ping、ip検索に引っかかりなし。ガチ幽霊 」という書き込みを境にスレ自体にひんやりとしたものが漂い出しました。 1さんの書き込みにはPCが存在しない。しかも1さんはプロバイダ契約をしていないようなのです。 こうしてここではないどこかで彷徨う幽霊の1さんと、ネットの住人たちの虚虚実実の交流が幕を開けることになりました。 1さんの証言によれば、専用のブラウザで掲示板を見ていたせいか、画面はそれに近いように思われる。霊界でのネットサーフィンはやはり生前の記憶と繋がりが大きい気がする。その証拠に全く見知らぬものには繋がれない。知っていたサイトなどは記憶をベースに見ることができるのではないだろうか、とのこと。 反対に、1さんを霊視した守護霊男さんからは 「>>1は脳が働いているが、肉体としての脳は燃やされている」 との情報がもたらされます。 彼の(背後にいる守護霊の)見解によれば: ・霊魂というものは、魂源と接続した、いわば情報の出口。繋がっているのはみんな共通の、ひとつの魂源。脳がない生物は基本的に接続してない。 ・脳は、魂源から限定的に情報を引き出すツール。これが死んで働かなくなると制限が解けて、前世の記憶ほか全ての記憶が出し入れ可能となる。 ・1はこの脳がまだ働いているため、生きているように感じる人も居る。 ・1はまだ成仏していない 脳の機能で生死を判別してる霊視の人に聞くと「生きてる」と言うし、生気で探る人に聞くと「死んでる」と言う。ぶっちゃけ特殊な幽霊? といった実に興味深い霊視結果が展開されたのでした。 そんな心霊的な展開をよそに、1さん自身は、実にらしくないんですよね。オカルト的に。 ご本人の言い分を信じるなら、若くして不慮の事故に遭ったはずですが、この人、成仏しそこなってなお、わが身の不幸を嘆くでなく、恨みつらみをまき散らすでなく。 退屈だし、淋しかったからここにきた。なるべくならもう少し(ネットで)遊んでいたいので目こぼししてもらいたい。そんな控えめなスタンスで、掲示板の住人たちと交流をのぞむ彼に、少しずつ周囲の空気が変わりつつありました。 日付が変わり夜が深まるにつれて、シニカルな嘲笑に満ちた雰囲気は影をひそめ、無明の闇を彷徨う彼を慰め、成仏を願う書き込みが増えていったのです。 「1よ、ゆっくり休んでくれ」と温かい言葉をかけてその場を離れる者。あるいは他界したご自分の家族と同じように、静かに祈りを捧げる者。 「......毒づいといてなにこのいい奴&まさかの感動的1000コメント・゜・(*ノД`*)・゜・.」 この掲示板のやりとり自体は数年前のスレッドのものですので、現在の技術と照らし合わせれば、ネット上の"幽霊さん"の正体などは容易に解析できるのかもしれません。 でも、虚から生まれたなにものかが、そこに居合わせた人々の心を動かしちゃったのもまた事実。ウェブ上の幽霊騒動、世知辛い世の中で、久々に目撃した素敵なお話だったなあなどと思った次第であります。
by cpu-700mhz
| 2011-01-15 07:00
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