うつ病と睡眠障害の切っても切り離せない関係
■ストレスが続くと5月病からうつ病へ
期待とヤル気に満ちて新しい環境へ飛び込んだ若者が、いつの間にか元気がなくなってしまう……。毎春、大学や会社のあちらこちらでこんな光景が見られる。いわゆる5月病で最近では6月病というのもある。この5月病あるいは6月病は、医学的には「適応障害」と診断される。 適応障害は、何らかのストレスが原因となって起こる情緒や感情の障害だ。中心となる症状は抑うつ気分や不安で、社会生活や職業・学業面で障害を起こすことが問題となる。適応障害は、ストレスを受けてから1~3ヶ月で発症するので、4月に進学や入社した人たちがちょうど5~6月に症状を出すわけだ。いわゆる「引きこもり」も適応障害のひとつと考えられている。 適応障害と軽いうつ病は症状が似ているため、専門家でもきちんと分けることが難しい。適応障害は原因となったストレスが取り除かれると比較的早く治るのだが、ストレスにさらされ続けると本当のうつ病になってしまうことが多い。 ■うつ病患者の94%が睡眠障害 5月病や6月病では、よく眠れなくなったり、朝になっても布団から出られなくなったりすることが多い。不眠はうつ病の主な症状の1つで、診断基準にも含まれている。うつ病患者の94%に睡眠障害があり、熟睡できない人が89%、寝つきが悪くなる人が73%、早朝に目覚めてその後は眠れなくなる人が48%、という報告もある。 うつ病になると昼寝や居眠りも苦手になる。健常者の3~4割は簡単に昼寝することができるが、不眠を呈するうつ病患者では11%の人しかできない。睡眠不足なのに昼間も眠れないのは、うつ病では覚醒水準が常に高くなっているためだ。 不眠はうつ病を発症する危険因子でもある。 睡眠障害がない人のうつ病の頻度は1%以下であるのに対して、睡眠障害がある人では14~20%がうつ病と診断される。アメリカのジョンホプキンス大学医学部男子卒業生1,053名を最長34年間にわたって追跡調査したところ、学生時代に不眠のあった人は、なかった人に比べてうつ病の発生率が約2倍であったという。 ■キーワードは、「ちゃんと眠れていますか?」。 疲れているのに眠れない日が2週間以上も毎日続くときには、うつ病の危険性が高い。こんなときはまず、眠る前の1時間は仕事から離れ、自分の好きなことをするリラックスタイムにしよう。ぬるめのお風呂にゆっくりつかるのもよい。気持ちが落ち着くと、寝つきが良くなってくる。それでも眠れないときには、我慢せず早めにお医者さんに相談しよう。
by cpu-700mhz
| 2009-05-11 19:30
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